ニューヨーク公演、開幕大成功!
ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョン

米NY時間7月20日(水)、ニューヨークのリンカーン・センター内にあるデビット・H・コーク・シアターにてブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚歌劇OGバージョンのニューヨーク公演が初日を迎えた。夏の演劇の祭典として知られるリンカーン・センター・フェスティバルの一環として実現したもので、7月24日(日)までの限定公演。初日にもかかわらず、2500席が満員御礼状態となった。劇場の外にはチケットを求めるアメリカ人が辺りの来場者に声を駆け回っている一幕もあったほど。客席は地元ニューヨーカーが多数を占め、食い入るように演技を見つめ、最後にはスタンディングオベーションが巻き起こる開幕となった。

 ミュージカル『シカゴ』は、夜の街にジャズの音色が響き、マフィアが暗躍する1920 年代、禁酒法時代のアメリカ・イリノイ州シカゴが舞台。夫と浮気相手の妹を殺害した元ヴォードヴィルダンサー、ヴェルマ・ケリーが現れ、虚飾と退廃に満ちた魅惑的な世界に観客を引き込む(All That Jazz)。曲の途中、ナイトクラブで働く人妻ロキシー・ハートが、浮気相手のフレッド・ケイスリーに銃弾を放つ。何でもあり<All That Jazz>な富と名 声の物語、素晴らしい楽曲、そしてスタイリッシュでセクシーなダンスを楽しめる作品。トニー賞®最優秀リバイバル・ミュージカル作品賞に輝き、アメリカ作品としてはブロードウェイ史上 1 位の ロングラン記録を更新し続け、現在20年目を迎えている『シカゴ』。宝塚歌劇OGバージョンは、1996年よりブロードウェイでロングラン公演を続けているリバイバル・プロダクションと同じ製作陣による舞台というのが特徴で、2014年の日本公演の成功を受けて、今回のニューヨーク公演が実現した。
リンカーン・センター・フェスティバルで上演される海外の舞台作品の多くは、文化交流の範囲で終わるケースが多いが、今回はアメリカ人の演劇ファンたちをも納得させる内容となった。出演者が登場する度に大きな拍手が客席を包み、カーテンコールでは「ブラボー!」の掛け声とともに瞬時にオールスタンディングとなる。日本語での上演のため、台詞やミュージカルナンバーの歌詞は英語で字幕表示されるが、通常の英語版と変わらないタイミングで笑い声がきこえる。さらには、アントラクト(間奏曲)でのオーケストラの見事な生演奏では手拍子が鳴り止まない。 ニューヨーク公演では本編のカーテンコールの後に、宝塚歌劇の名曲の数々をちりばめたおよそ20分のレビューが披露された。スタイリッシュなステージングの本編とは打って変って、客席がムービングライトに照らされ、“TAKARAZUKA ENCORE(タカラヅカ・アンコール)”と書かれた煌びやかな舞台装置が登場。今回の渡米メンバー全員が総出演する圧巻のサプライズだ。同ミュージカルのブロードウェイ初演で主役の一人ヴェルマ・ケリーを演じたダンスの名手チタ・リベラも会場に駆けつけており、本編のフィナーレが近づくにつれ上半身を乗り出し、のめり込むように観劇。宝塚の舞台を日本で観劇したことがあるという彼女は、「女性が男性を演じるのが違和感なくゴージャスで完璧な舞台だった」と絶賛。また同作品の作曲家であるジョン・カンダ―は、男役により演じられる主役の弁護士ビリー・フリンについて、「ブロードウェイの公演も男役で上演すれば良いのに」と感銘を受けていた。来場したニューヨーカーは「こんなシカゴは初めて見た。彼女たちの素晴らしいダンスや演技には驚いた」「本当にいい作品なので、もう一度見たいと思った。」と興奮気味。

今年で劇場街ブロードウェイでのロングラン20周年を迎えるミュージカル『シカゴ』。一方で宝塚歌劇OGバージョンが、今年で20回目を迎えるリンカーン・センター・フェスティバルで上演されたという事実には不思議な縁を感じる。また今回のように同じ演目がブロードウェイでの公演と並行してニューヨーク市内で同時上演されるのは極めて稀なケース。今回のミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇OGバージョンは、米演劇界にも大きな足跡を残すことになりそうだ。ニューヨーク公演のあと、8月からは東京、大阪へと続くが、この評判は日本にも伝わりチケット争奪戦になることは間違い無いだろう。


ブロードウェイミュージカル「シカゴ」宝塚歌劇 OG バージョン
東京公演 8月10日〜21日 東京国際フォーラムホールC
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大阪公演 8月25日〜31日 梅田芸術劇場メインホール
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公式ホームページ http://chicagothemusical.jp/

写真すべて:©MASAHIRO NOGUCHI.