冨田勲 追悼特別公演
冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』
制作発表記者会見 初音ミクのバレエ衣装解禁!

 今年5月に他界した音楽家・冨田勲の追悼公演『ドクター・コッペリウス』の制作発表記者会見が10月26日(水)東京四谷・JFICホール[さくら]にて行われた。 同公演は冨田勲が亡くなる1時間前まで創作に取り組んでいた作品で、バーチャルシンガー初音ミクとバレエダンサー、オーケストラ、シンセサイザーがコラボレーションしたスペースバレエシンフォニー。
11月11日(金)と12日(土)に東京・Bunkamuraオーチャードホールにて初上演される。

会見には国際交流基金理事長の安藤裕康、指揮の渡邊一正、振付の辻本知彦、演出のことぶき光、音楽ライターの前島秀国、そして冨田勲の息子である冨田勝の5人が登壇した。

冒頭では国際交流基金理事長の安藤裕康が挨拶。冨田勲は作年、国際交流基金賞を受賞し、最後の講演となった同基金の記念講演会上で『ドクター・コッペリウス』の構想を明かしたそう。

(写真左から安藤裕康、ことぶき光、渡邊一正、辻本知彦、冨田勝)
©竹川潤一

安藤は「作年の講演会で発表されたこの公演が実現したことを感無量に感じております。」と語り、冨田勲と初音ミクという日本文化の真髄を体現した両者の融合を、今後は海外でも公演してもらいたいと締めた。

続いて、『ドクター・コッペリウス』のティザー・トレイラーを報道陣の前で初めて上映し、ベールに包まれていた内容の一部も公開。冨田勝は「これは父が必ずやり遂げたいと並々ならぬ意欲を持って取り組んだ企画でした」と『ドクター・コッペリウス』の完成を喜び、父の想いをひとりでも多くの方に聴いてもらいたいと呼びかけた。

公式パンフレットの解説を担当した音楽ライターの前島秀国は公演の全体像について報道陣へレクチャー。
この企画は、初音ミクにバレエを踊らせたいというのと、日本のロケット工学の創世記に携わった糸川英夫博士をモチーフにした作品をつくりたい、その2つの構想を合体させた作品であった事を明かす。バレエとホログラフィーを共演させたいという糸川博士の夢を冨田が継ぐという形で今回の企画が実現したとの事。

又、本公演の最大の注目ポイントは3DCGとバレエダンサーが交わる立体映像装置の導入。
演出を手掛けることぶき光は「当日のお楽しみ!」と期待感を煽る発言を残す。
3DCGと実像の共演という前代未聞の振り付けを担当したのは、日本人初のシルク・ドゥ・ソレイユのダンサーとして活躍する辻本知彦。昨年の初顔合わせで、どうしてもこの人の前で踊りたい!と別れ際、タクシーに乗ろうとする冨田勲の前で踊ったエピソードを話し、会場でもその時のダンスを披露。公演の最後にある振り付けは「自分の人生の中で最大のヒット作!」と自負。必ず泣けます!と締めた。

オーケストラを指揮するのはマエストロ、渡邊一正。小学校の頃、(冨田勲のアルバム)「惑星」を擦り切れるほど聴いた想い出を話し「あの世から怒られないように、スコアをしっかりと読み込んで取り組みたい!」と公演に望む意気込みを語った。

©Crypton Future Media,INC.www.piapro.net
この日は、バレエのコスチュームに身を包んだ初音ミクの画像も初公開。

又、70〜80年代に冨田がオープンリール・テープに残していた秘蔵音源が見つかった事も伝えられ、その一部を報道陣の前で聴かせ、本公演にも使われる事を明らかにした。

冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』の世界初演は、11月11日(金)と12日(土)に東京・Bunkamuraオーチャードホールにて開催される。

冨田勲追悼特別公演 冨田勲×初音ミク「Dr.Coppelius」
日程:11月11日 (金) ~ 12日 (土)
会場:Bunkamuraオーチャードホール

【キャスト】
■第1部『イーハトーヴ交響曲』
 作曲:冨田勲
 指揮:渡邊一正
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 バーチャル・シンガー:初音ミク
 出演:シンフォニーヒルズ少年少女合唱団、イーハトーヴ合唱団
『惑星 Planets Live Dub Mix』  Dub Mix: エイドリアン・シャーウッド

■ 第2部 スペース・バレエ・シンフォニー『ドクター・コッペリウス』
 制作・ストーリー原案:冨田勲
 リアルタイム3D映像投射技術:クリプトン・フューチャー・メディア
 エレクトロニクス:ことぶき光
 振付:辻本知彦
 出演:初音ミク、風間無限
 指揮:渡辺一正
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団