ベートーヴェンの半生を描く舞台「No.9 ー不滅の旋律ー」

主演・稲垣吾郎 公式インタビュー到着

2024.10.18更新


 作曲家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンはいかにして「交響曲第9番」をはじめとする名曲の数々を生み出したのか。その人生に迫る『No.9 -不滅の旋律-』が再演される。2015年に初演され、今回が4度目となる上演で、ベートーヴェンを演じるのはこの作品をライフワークとしている稲垣吾郎。


「ベートーヴェンが作り出したすばらしい音楽にふれていたい、そのすばらしさを伝えることに参加していきたいと思っています。ベートーヴェンはあまりにも偉大な人で、でも意外に人間くさくてチャーミングなところもある。演じても演じてもつかみきれない役ですが、自分にちょっと引き寄せながら演じているところもありますね。何に対しても全力で裏がない彼のキャラクターもすごく好きです。正直すぎて他人からは誤解されたり、偏屈に思われたりもするけれども、矛盾はしていない。そんな風に生きられたらいいなって思うときがあるんです」と、作品、役柄への尽きせぬ情熱を語る。


「(ベートーヴェンは)すごく起伏が激しくて、あまりにも自分の中にないエキセントリックな部分がある。僕はどっちかというと静かに穏やかに生きたいと思っている方なんで、だからこそ演じていて面白い。舞台では心拍数を上げてセリフを言っているから、ランニングマシーンで走りながら台本を声に出して読んでみました」と、3年ぶりに作品に挑むにあたっての心境を教えてくれた。




「本当に最近、かなり偏った役、屈折した役をいただくんです。でも、いろんなイメージをもたれて、この役を演じてほしいと思ってもらえるのはすごくありがたい。自分から見て正しいこともあれば、イメージが先行しているな、ホントは違うのになと思うこともある。でも、自分がどう見られているか常に冷静にわかっていないと自分の面白さにも気づけない。もう一人の自分が上から冷静に俯瞰で見ているみたいな感覚は、特に舞台では重要なのかなと思います。お客様も含めて、すべての空気感、その場、劇空間を掌握していく、自分の中でコントロールしていく感じがあった方が好きかな」と話す。その客観的な目線は、国民的アイドルグループの一人としてステージに立ってきた経験によっても培われてきたものなのだろうか――と尋ねると、「それはあるある。チームプレイだから、自分の立つべきポジションがある。自分だけゴールを決めればいいっていうもんじゃない。そこは大きいかな」と答えてくれた。


「新しく入ったキャストの方の役の解釈にも違いがあるし、時世も変われば見え方も変わってくるし、自分の気持ちも変わってくる。父性みたいなものも年々強くなってきたりしているから、甥っ子カールとの会話もちょっと感じ方が変わってくるかもしれない」と語る。演出の白井晃とのタッグについても、「白井さん自身がベートーヴェンみたいな人。僕だったらもう諦めてしまうようなことを、白井さんは何が何でも諦めない。ある程度完成されているのに、それでも毎回、完成したものを一回破壊してからまた構築していこうとする。だからこそ舞台がどんどん進化していくし、鮮度も保てる。舞台の世界だと一つのことをずっと追求し続けられる、それが僕の気質には合ってるかな」と、大いに楽しんでいる様子。
培ってきたキャリアとその人間性のすべてを注ぎ込んで、今、このときだけの『No.9 -不滅の旋律-』が誕生する。そんな予感を抱かせるインタビューだった。

取材・文=藤本真由(舞台評論家)
PHOTO:武田敏将



<公演概要>
『No.9 ー不滅の旋律ー』
稲垣吾郎が全身全霊で挑む天才作曲家ベートーヴェンの半生、4度目の上演決定‼︎
波乱と苦悩の生涯を、主演・稲垣吾郎 × 演出・白井晃の最強タッグで魅せる!

2024年12月21日(土)-12月31日(火)
東京国際フォーラム ホールC

【出演者】
 稲垣吾郎 / 剛力彩芽
 片桐 仁 南沢奈央 崎山つばさ 中尾暢樹
 岡田義徳 深水元基 松田佳央理 小川ゲン
 宮部大駿 正垣湊都・村山董絃(Wキャスト)
 奥貫 薫 羽場裕一 長谷川初範
 ピアニスト:末永 匡 梅田智也
 演出:白井 晃
 脚本:中島かずき
 音楽:三宅 純

【チケット料金(税込)】
 S席 13,500円
 A席 10,000円

【問い合わせ先】
 キョードー東京 (平日11:00〜18:00・土日10:00〜18:00)0570-550-799