魔法のようなハーモニーで、

ディズニーの名曲を歌う「ディカペラ」

3年ぶりの日本公演への意気込み、アカペラの魅力を聞く

2022.6.15更新

楽器を使わず、声だけでディズニーの名曲を再現するアカペラグループ「ディカペラ」。待望の3年ぶりの日本公演が、8月5日(金)から始まる。コロナ禍で公演を自粛してきた「ディカペラ」が、本格的な活動を世界で再開する第一歩だ。そこで音楽監督のディーク・シャロンさん、バリトン担当のオーランド・ディクソンさんに日本公演への意気込み、グループやアカペラの魅力を聞いた。

音楽監督:ディーク・シャロン
バリトン担当:オーランド・ディクソン

――まずは2019年に開催された日本公演の感想、思い出から聞かせてください

ディクソン:
日本へ出向いたのは初めてでしたが、見るもの聞くものすべてがアメイジング! 自分の人生が大きく変わる体験でした。何よりディズニーの音楽を通じて、日本のみなさんと心を一つにできたことは、心から嬉しかったですね。

シャロン:
私はサンフランシスコ出身なので、昔から日本の方には親近感をもっています。これまで何度も日本を訪れていますし、日本が大好きです。前回の公演では、目を輝かせてディカペラの音楽を楽しんでくださっていたみなさんの笑顔が、強く印象に残っています。

――その後、世界を新型コロナウイルスのパンデミックが襲いました。公演中止をよぎなくされたなか、ディカペラとしてはどのような活動をされてきたのでしょうか。

シャロン:
コロナ禍によって、世界中の多くの人々が恐怖と不安を感じたことでしょう。ディズニーランドもしばらく閉園となり、ディカペラもリアルな公演ができなくなりました。でもこんな時こそ、私たちの音楽が世界には必要なのではないか。そう考え、メンバーの自宅からリモートでレコーディングをしたり、ビデオ撮影をしたりして、世界に楽曲を公開する活動に取り組んできました。

ディクソン:
自粛中は、自分がこれまで人生でやってきたことを振り返る、よい機会でもありましたね。メンバーと一緒に歌えなくなったことで、改めて自分の人生においてディカペラというグループの存在がいかに大きいかを痛感しました。

――日本公演は、ディカペラが世界に本格的にカムバックする最初の一歩となります。セットリスト29曲のうち、16曲が新曲だと聞きます。

シャロン:
大好きな日本のみなさんに、最高のギフトを贈りたい。そんな思いで、昔のものから最新のヒット曲まで、ディズニー音楽の魅力をたっぷり詰め込んだステージをお届けします。新曲は生の本格的な公演で披露するのは、日本のお客さまが初めてです。ディカペラが世界に先駆けて、日本のお客さまの前でカムバックできることはとても光栄です。メンバーやスタッフ一同、今から公演を心待ちにしています。今回も2019年の公演同様、舞台背景のスクリーンにディズニーアニメの映像やライブアクションを映しだします。サプライズな演出も用意していますのでお楽しみに!

――今回の公演では『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』『アラジン』など 日本でも大人気の映画の挿入歌が数多く歌われます。ディクソンさん、他にお気に入りのナンバーがあれば教えてください。

ディクソン:
子供時代にワクワクしながら、夢中で見ていたディズニー映画の音楽を、アカペラで日本のみなさんと共有できることは大きな喜びです。お気に入りの曲としては、まずは「We don’t talk about Bruno」をあげたいですね。映画『ミラベルと魔法だらけの家』の挿入歌で、魔法の才能をもつファミリーが、消息不明の叔父のブルーノについて歌います。メンバー一人ひとりの個性が光る曲で、どのようなアプローチでパフォーマンスをするか、工夫のしがいがあります。もう1曲あげるなら『ターニングレッド(邦題:私ときどきレッサーパンダ)』で使われている「Nobody Like U」でしょうか。キャッチーでノリのよい曲なので、日本のお客さんにもきっと喜んでいただけると思います。

――ディクソンさんの担当はバリトンです。このパートの役割や、歌うときに心がけていることなどを教えてください。

ディクソン:
ディカペラで歌うときは常に、自分の声の個性を活かし、多彩なサウンドをつくるよう心がけています。バリトンは男性ボーカルのテナーとバスのブリッジ的存在です。いろんな声色をブレンドし、全体の流れをよくする潤滑油のような役割も担っています。絵画に水彩やパステル画などさまざまな表現があるように、音楽も声の質感によって、バラエティーあふれる表現が可能です。そのような多様な音の色彩を生み出すうえでも、バリトンは重要な役割を果たしていると思っています。

――シャロンさんは「現代アカペラの父」とも呼ばれるアカペラの第一人者です。アカペラという音楽ジャンルの魅力はどこにあるとお考えですか。

シャロン:
アカペラは音楽でもっとも古い原始の形態です。楽器が誕生するはるか前から、鳥がさえずり、動物がいななくように、人類は声を使い、人と思いを共有し、絆を深めてきました。楽器演奏者に対する一番の褒め言葉として「シングしている」という言葉が使われるように、人の魂をゆさぶる音楽の原型こそがアカペラだと思っています。

――そんなアカペラで、世代を超えて愛されているディズニー音楽を演奏する。それこそが、ディカペラというグループのユニークな点で、最大の魅力ですね。

シャロン:
その通りです。ディズニーの音楽は時代を超え、いつの時代も人々の心に寄り添い続ける普遍的な魅力をもっています。本当にすばらしい曲がたくさんありますよね。そんなディズニーの音楽を、人間の声だけで聴かせる。それがディカペラです。アレンジにおいては、楽曲で最も大事なメロディーをいかに光り輝かせるかに配慮しています。さらにメンバー一人ひとりの多彩な声がからみあうことで、相乗効果を発揮し、心に深く訴えかける音楽を目指しています。

ディクソン:
ディズニーの音楽には、友情や家族の無償の愛、困難に負けず一歩前へ踏み出す勇気など、人生において大切なテーマが盛り込まれています。そこに自分が今まで体験してきたこと、その時の思いを込めて歌うことで、より聴く人の心に響くものになるのではないかと思います。「自分を信じて進めば夢は実現できる」といった前向きなメッセージの曲を歌うことで、自分自身もそんな気持ちになれるんです。

――ディカペラのメンバーは全米1,500人を超える応募者から選ばれた実力者揃い。一人ひとりがソロとして活躍できる実力の持ち主であることも、このグループの凄さですね。

シャロン:
そうなんです。普通のバンドだと、リードシンガーはたいてい一人です。でもディカペラは全員がリードシンガーであり、スパースターです。曲ごとにスーパースターが入れ替わり立ち替わりリードをとる。そんな豪華絢爛なグループなんです。

――それだけ優秀なアーティストが集まっていると、ときには衝突もあるのではないでしょうか。どのようにグループとしてのチームワークを保っているのですか。

ディクソン:
大事なのは会話ですね。意見の違いはもちろんありますが、グループのみんなとは常にお互いの意見に耳を傾け、それを尊重するようにしています。大前提として僕らには、「魔法のように美しい音楽をつくり、それを世界に発信したい」との共通した思いがあります。一人ひとりの考えや声は違うけど、みんなが同じゴールに向かって進んでいます。だからこそ、みんなで協力しながら、成長していけているのだと思いますね。

――最後に日本公演に向けた意気込み、日本のファンへメッセージをお願いします。

シャロン:
私の人生の使命は、アカペラを通して調和のすばらしさ、その力を人々に伝えていくことです。どんな困難も、人々が力を合わせ、協力して進めば、新たな道が切り開かれると信じています。それを何より体現しているのが、ディカペラの音楽です。彼らの歌声を耳にすれば、誰もがハーモニーの力を痛感することでしょう。日本公演を通して、未来に向けて一歩踏み出そうという気持ちになる方が、一人でも増えると嬉しいですね。

ディクソン:
この2年以上、コロナ禍でつらい時間を過ごした方が多いと思います。そんな方々が、私たちの音楽に触れることで、前向きなインスピレーションを得てもらえたら最高です。大好きな日本のみなさんと同じ空間と笑顔を共有し、この夏、最高の思い出を一緒につくりたいと思っています。

ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」
2022年8月5日(金)~21日(日) 東急シアターオーブ
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